江ノ電のはなし その4
きらきらと さんごやしんじゅが ひかるうみをすすんでいくと
そこには みたことがないほど りっぱなごてんがありました
うらしま太郎で、太郎が亀の背に乗って竜宮城に向かうシーンです。
息子は一時期この絵本にはまり、とにかく、何度も読んでとせがみました。
親は、飽きるのを通り越し、無の境地でそらんじることができるほどになりました。
いま息子はベビーカーに乗って「すばな通り」をすすみ、竜宮城にむかっています。
すばな通りは、先のえのでんはうすのある通りですが、しらす丼や老舗の羊羹などにまじり、
ちょっとしたインテリアのお店とかステンドグラスなども売っていて、なかなか楽しい。
そして弁天橋をこえると、みえてきました。これです。
ここは小田急線の片瀬江ノ島駅。
私が以前、この駅を見たのは、中学の遠足でした。
その時は駅舎の色彩ととデザインに圧倒され、とても大きく感じたものでした。
当時の私より、まだ60cm以上も小さい息子は、どのように感じたのでしょうか。
でも彼は竜宮城の門の先を見ていました。
そこにいたのはブロンズ色の小田急ロマンスカーEXE。
息子はたちまち「入る」、と改札口を抜けようとしました。
彼の大好物の通勤形の電車も、続々到着してきています。
長くなる・・・
そう確信した私は「今日は江ノ電の日だから、今度にしよ」と、
竜宮城からそそくさと去ったのでした。
息子はそれ以上何も言いませんでした。
その後、もう少しつき合ってあげればよかった、と反省しました。
三年、三百年、戻って来ないわけではないのですから。
つづく
by yufuin-no-mikan
| 2012-10-13 23:33
| 江ノ電