ローマ・オペラ座に高橋大輔を想う
なぜこの写真を引っ張りだしてきたかと言うと
全日本フィギュアスケート選手権のフリーで
高橋大輔選手の「道化師」を見たからです。
オペラ「道化師」は、映像で見たことがあります。
旅回り一座の座長であるカニオ。
女優で妻のネッダは色男の役者と浮気をしています。
嫉妬にかられたカニオは、狂気の中で
芝居と現実の境目がわからなくなり、
最後には二人を殺してしまうという悲劇です。
ひたすら広がる、冷たく色彩のない氷の上に
黒に身を包んだ高橋選手が現れました。
重厚な始まりの音で幕が上がると、後はもう見入るだけ。
逃れられません。
そこにいるのはカニオなのか高橋大輔なのか。
この表情は、生身の感情なのか、演技なのか。
見ている側も芝居と現実の境目がわからなくなるほどです。
15歳で世界ジュニアチャンピオンになり
世界の第一線で戦い続けながら
練習拠点やコーチの変更、膝の大怪我など
数々の試練を乗り越えてきた高橋選手。
その蓄積されてきた彼のスケートの歴史の重み、
演技の重みが、古代都市ローマと重なりました。
ローマは一日にして成らず、ではないですが、
この道化師は高橋選手にしか演じられないもの。
間違いなく歴史に残る名演でした。
私が数年前、このオペラ座に行った時、
背伸びをしてオペレッタを見たのですが
もったいないことに時差ぼけで、夢うつつのまま
終わってしまいました。
いつかリベンジしたい。
十分に睡眠を取って。
ちなみに今年の12月25日の上演は
バレエ「白鳥の湖」だとか。
切っても切れない、銀盤と歌劇場の関係なのでした。
by yufuin-no-mikan
| 2012-12-25 00:46
| フィギュアスケート