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地下鉄博物館にいきたい! その4

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「他ノ戸 此ノ戸 閉 開」。

レモン色の銀座線の展示車両に足を踏み入れてすぐに、
そう書いてある茶色い小箱が目に入りました。

なんだろう?

その瞬間、なんだか味のある箱だなあと思い、一枚ぱちりと撮りました。

 

さて、タイムマシン一号丸の内線から銀座線の車両に乗り換えましたが、
これがさらにタイムスリップ。

なんせ駅名が「うへの」。
乗っている人形が和服。
花柄の着物におかっぱ頭の女の子の人形は、
「けふは地下鉄道といふものに、のってみようかしら」
とでも言っているよう。
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それもそのはず。この車両は「東京地下鉄道1000形」という名前で、
昭和2年に浅草−上野間で営業を開始した日本最初の地下鉄だとか。
当時のキャッチフレーズが「東洋唯一の地下鉄道」。
ふむふむ。

外側はぱきっとしたレモン色ですが、車内に一歩踏み入れると、なんとも落ち着いた雰囲気。
あめ色の木がそこかしこに使われていて、シートも落ち着いた緑色です。
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ふと、そんな落ち着いた車内に似つかわしくない機械音が。

「ピコンピコーン。ドアしまります、ごちゅういください。ピコンピコーン」

息子が見えないドア、見えないお客さん相手に、
せっせせっせと車掌さんごっこをして遊んでいるのでした。

「他ノ戸 此ノ戸 閉 開」

あっ。車掌さんのスイッチ。

はじめにみた茶色の小箱は、ドア開閉のスイッチだったんだ。
此の戸、他の戸という「こそあど」表現が、なんともゆるやかな感じがします。

八十数年前の子どもたちも、やっぱり車掌さんごっこをしていたのでしょうか。
その時、音はどうしていたのかな。ピコンピコン、じゃないんだろうなあ。
ああ、おじいちゃんがまだいたら聞けたのに。
茶色い箱さん、どんな音がするの?

その昔大勢の子どもたちに、憧れのまなざしで、
じーっとみつめられていたに違いないであろうこの箱は
今でもとっても誇らしげにみえました。

つづく
by yufuin-no-mikan | 2012-10-27 23:55 | 地下鉄